日々の生活を心地よくするには、先ずは自分の好きを知っていることが大切だと思っています。
第13回目は『pelican vintage」のSayaka Oikawaさんです。大好きなヴィンテージを基軸としてデザイナーズ、ヨーロッパ、アメリカ、アジア、民族衣装、ミリタリー、ワークなどジャンルに縛りを設けず、柔軟な買い付けが評判に。そんな彼女の『好きなもの』が紹介されています。見て頂いた方々が、知るきっかけになったり、共感して好きなものが増えたら嬉しいです。
フィービーのシャツ
子供が生まれてから、自分が着る服には合理的な美しさとコンフォータブルであることを求めるようになりました。さらにスタイルをシャープに見せてくれて自尊心を失わない質であって欲しい。
そのすべてを叶えてくれるのがフィービー・ファイロによるcelineのシャツでした。日常で無理なく心地良く着れて、洗練と少しのエッジを持たせてくれるから、毎日の送り迎えとかちょっとした外出にさっと適当に着ても良い気分で居られます。久しぶりの人に会う時やポップアップなど、今日は気持ちを上げたい!という時もフィービーのシャツを選んでいることが多いです。必ずと言っていいほど褒められます。色違いや素材、形違いなど色々なデザインを所有していますが、どれもが素晴らしい。ひとつひとつの細部からフィービーの着る人への優しさや思いやりが伝わってきて、とてもよく考えて作られているのがわかります。100年経っても輝きを失わないシャツだと思います。
フランス人が履いていたUS NAVYのデニム
pelicanをスタートする前に勤務していた、高円寺のmilitariaで購入した思い出深いデニムです。
40年代のUS NAVYの作業用デニムですが、ちょっと雰囲気がUSぽくない。ユーロビンテージのムードなのです。何故かというとフランス人がフランスで履いていたものらしく。古くから物を大切にする文化があったフランスの古着はリペアの施し方が特徴的で、手縫いで丁寧に細かく直してあります。(アメリカ人はもう少しざっくり直すイメージです。)これがとても美しくて愛おしい。
ウェストがかなり大きいので適当にタックをとって縫いとめています。ポケットすべてと膝にも穴があいてますし、もはやてろってろでボロボロなのです。しかし古いもの特有の、静かにうちに秘めたような激しさと経年でしか出せないとろみがなんだかエレガントで格好良いのです。celineのシャツやhermesのジャケットなど、仕立ての良い美しいトップスに合わせて履いています。
loeweの巾着バッグ
私の理想のバッグのひとつの最終形態だと思うほど気に入って愛用しているloeweのフラメンコ。
吸い付くほどに柔らかなもちもちの皮にミニマルでモダンな佇まいが美しいです。丈夫で、見た目以上にたくさんの物が入るので、小さい水筒や子供の着替えなんかも入れてます。蓋がないからストレスなく物の出し入れができますし、手持ちだけでなくクロスボディで使える事は私には重要なポイントです。白と黒と2色持っていますが、ほぼすべてのコーディネートが良い感じにこなれてくれます。バッグは使い方やデザイン含めて服以上にその人らしさや人間臭い部分が出るものだと思っています。今の自分に合った、理想的なバッグに出会えるって幸せです。
本(文庫本)
軽くて気軽に持ち歩ける文庫本が好きで、いつも何かしらの文庫本が傍にあります。
本は、内容は勿論のこと本を読んでいる状況を味わうのがすきです。お気に入りの椅子に腰掛けてじっくり読むのもすきですし、お湯が沸くまでの3分間キッチンに寄りかかったまま読むのもすきです。出張に行く飛行機の中で読んだ本は、そのイメージや感じたことが旅に影響するので、何を持っていくか重要です。とりわけすきなのは、娘が昼寝をしている束の間の静寂の中で、よく晴れた空が見える窓から陽光がさんさんと降り注ぐソファに寝っ転がって、お気に入りの文庫本を読んではうつらうつらして、読んでは胸の上に本を伏せてすこし夢を見て。そんなことを繰り返している時に、ああこれこそが幸せだなとしみじみ感じます。
木や石のオブジェ、花器
木や石など天然素材のオブジェが好きです。自然の風合いや色みを活かしながら抽象的でモダンに昇華されたデザインに惹かれます。部屋に物が多すぎる状態が苦手なので沢山は買わないようにしていますが、ビンテージでも新しいものでも、これはわたしに出会うために作られた!と感じたら旅先で少し大きかろうと連れて帰ります。最近購入したお気に入りは、laetitia jacketonのガラスと石の花器。
歪な石の上にとろんとこぼれ落ちそうなガラスがなんだか不思議で面白くて。光が差し込んで映る水の影が柔らかくてとても綺麗です。気に入っているビンテージのテーブルにちょこんとある景色が乙でだいすきです。
Sayaka Oikawa(Pelican vintage)
アパレル企業でデザイナー、ディレクターを務め28歳で退職。中目黒、高円寺のヴィンテージ ショップ勤務を経て2017年にpelicanをスタートさせる。一児の母。
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